イラン旅行トップに戻る

6月25日 日曜日

イラン旅行 第6日 エスファハーンは世界の半分!

エスファハーン2日目。今日は一日中市内観光です。ただ、その前にホテルチェンジ。昨晩のホテルが値段と設備を考えてイマイチだったので(冷房無いし外はうるさいし)、別のホテルへ移ることに。ここで思い切ってエスファハーン、最高級ホテルの1つに行ってみました。ホテル・アッバースィー、五つ星ホテルです。僕自身、高級リゾートホテルとかにはさほど興味はないのですが、ここは昔の隊商宿を利用して建てられたもので中庭、建物、設備、すべてにペルシャムード満点。昔の自分なら絶対にしないような贅沢だなあ、なんて思いつつ一泊だけ滞在してみました。

ちなみに、気になるお値段は2人で全部でUS$110程度。すいているシーズンだったのもあるのかな。もちろん、イラン国内の物価から考えたらものすごい贅沢ですが、この値段でこんな伝統ある五つ星ホテルに泊まれるのはすごくお買い得かも!?地球の歩き方には「イランのみならず世界でも最高級のホテルの1つでしょう。」なんて書いてあるし。ま、そこまで言うかどうかはおいておくとしても、とても良い滞在になりました。

ホテル内の従業員も感じ出ています。同時にサービスも、イランでは珍しく欧米流のプロ意識が感じられました。(欧米の五つ星には到底かなわないとは思いますが)
これはホテルのロビーです。バックパッカーには少し不似合いですが、良い方のシャツを着てごまかす(笑)。高級な雰囲気といっても、周りの人を見るとお国柄でしょう、ネクタイをしている人は皆無。ネクタイがないと、なかなかそこまでフォーマルな雰囲気にはならないもんですね。僕なんかにはなんだか居心地良かったです。(^^
2階のおしゃべりスペース。ここでラップトップをインターネットにつなぐこともできました。無料でブロードバンドはありがたい。貯まっていた大量のメールをダウンロード。
部屋の引き出しの中には聖書が置いてある、ということはありえなくて、コーランとお祈り用の道具が。
イランではどの客室にもメッカの方向を示す印が付いています。
ホテルの中庭はこんな感じでなんとも贅沢。

洗濯物を出して、それから翌日のテヘラーン行きのチケットを手配に行きます。ここでちょっとした誤算。なんとテヘラーン行きの飛行機が満席で売り切れ。テヘラーン→シーラーズがあっけなく取れたのでのんびり油断していたのがまずかった。やむを得ず、またもや長距離バスです。時間もかかるしガッカリ。でもどうしようもない。今度は間違えないようにエアコン付きの「ボルボバス」にしました。

気持ちを切り替え市内観光へ。今日はエマーム広場のそばからスタートです。

途中のバーザールでタイルを売っていました。模様が見るからに凝っていて精巧なやつほど値段が高かったりします。おみやげにいくつか買いました。
午前中の広場はこんな感じです。既に太陽が高く炎天下のためか、閑散としています。

まずは西側にあるアーリーガープー宮殿へ。ヘンな名前。

見晴らしはなかなかのもの。王がここからポロを観戦したとか。
南にあるエマーム寺院、明るい時に見ると色彩や位置関係がはっきり分かり印象も大分変わります。
最上階にあるこのスペースは「音楽室」だそうで、音響を計算に入れて穴が開けられているそうです。どんな音響なのか聞いてみたい。
じっくり見学していたらお昼になってしまいました。イランでは昼過ぎのお昼寝タイムがあり寺院もお店もいったん閉めてしまいます。イタリアやスペインのシエスタと同じですね。これだけ暑いとそれが合理的なのかもしれません。

バーザールも途端に閑散としてしまいました。
こんな風にどこもかしこもを閉めます。
のんびりお昼ご飯。それから「金曜の寺院」というところが他の観光スポットよりはやく再開するということで閑散とした商店街を通って行ってみました。
各寺院の建築や装飾も素晴らしいですが、イラン人を見ているのも面白いです。どこの寺院にもこの写真のように絨毯が敷いてあって地元の人たちがくつろげるようなスペースが必ずあります。ここで気の向くままにお祈りしたりおしゃべりしたりします。この時も、祈りを捧げている人もいるにはいましたが(例えば、写真右端)、時間がずれていたのか、ほんの少しだけ。それとは別にゴロゴロ寝転がって昼寝をしている人が沢山いるのがなんだかユーモラス。
午後に入り再開したバーザール。
鶏とヒヨコを売っている店。
即席屋台で果物を売るおじちゃん。
桃の良い香りが鼻腔をくすぐります。
アーケードのある部分は昼でも薄暗いのですが、その薄暗さの中に所々から差し込む陽光と店の明かりとでとても良い雰囲気になります。
何百年と続く商店街。こういうのは欧米にも日本にもそうはありません。

エマーム広場に戻りエスファハーンのハイライト、エマーム寺院に行きました。

ここが広場に面した入口。でもこれは便宜上のモノで、中に入って右奥に正式なやつ(メッカの方角を向いたもの)がそびえています。
イラン建築、イスラーム建築のことをよく知らない我々でも、この大がかりな精巧さには息をのみます。

内部の門やドームもすごい迫力でした。でも、ヨーロッパの大聖堂でもいつも思うのですが、こういう迫力はなかなか写真にうまく撮れないんですよね。とても1枚に入りきらない。広角レンズでもあればましなんでしょうが。おまけに数カ所で工事していて写真はあまり撮れず、お見せすることができないのですが、ともかく素晴らしかったです。

これはメインのドームではなくただの回廊の部分ですが、それでもこんな風に建築も装飾も凝りに凝っている感じです。
メインのドームは外もすごい装飾です。
ドームの中から上を見上げて撮った写真。
礼拝堂の中の壁面。陽の光の入り具合でとても幻想的な雰囲気に。
それからこのドームの中の中心部は、日本の鳴き竜のようにものすごい残響で、小さく手を叩いただけでもよく響きます。そばにいたイラン人のおじちゃんに一番響く場所(写真下)を教えてあげたら大喜びしてそこで何回も手を打って楽しそうにしていました。

それがよっぽど好印象だったのか、帰り際この家族にまたバッタリ会った際、「記念撮影しよう」なんていわれて一緒に写真に写ってしまいました。(^^

暑さにやられ、ヘタレなShikoはここで涼しいホテルの部屋で休憩します。夕方になって戻ってきたマイクとまた町歩きへ。商店街ではマイクのスカーフを買いました。今までは家から持ってきた、いかにも日本、という花柄のものをつけていたのですがどうにも暑くてやっていられない、ということで。それとスカーフはやはり落ち着いた色が基本なんですよね。今までの我々はイラン人からすれば「見ろよ、ヘンな外人がヘンな和服を着て歩いているぜ」みたいな風に映っていたんでしょう、目立ちやすかったところもあるし。コートのようなものは選ぶのが大変そうでしたが、スカーフだけなら簡単に買えました。200円くらいだったかな。

この日もなんだかんだとイラン人とおしゃべりする機会が多かったです。女子学生のグループがこっちを見てクスクス笑いながら興味深そうにしているのでなんなんだと思っていたら、マイクのスカーフの付け方がおかしくなっていたようで、正しい付け方を教えてくれました。きゃぴきゃぴしながら僕らに「歳は?」、「ケッコンしているの?」などなど聞いてきました。

まあ、その辺は非常に良く聞かれた質問で、彼らにすると失礼でも何でもない初対面の時にするごく自然な質問のようです。あと、英語の先生だという夫婦にも呼び止められたっけな。「英語の練習がしたいんだ」とかいってかなりいろいろ質問されたりしました。そういう「英語の練習がしたい」、というタイプの相手の場合はちょっと鬱陶しいことが多いかも。

昨日の橋以外にもきれいな橋がいくつもある、ということで夕暮れ時を橋巡りをして過ごしました。アーチの形が面白く、夜のライトアップも良い感じです。

広場やバーザールもそうですが、装飾やライトアップ、ショーウインドウなど「センスが良いな」と思わせられることが結構ありました。日本ともヨーロッパとも全然違うのですが、独特の由緒正しい美的感覚というのが息づいている感じです。長い伝統のあるペルシャやイスラムの文化・芸術を通じて彼らなりの洗練があるんでしょう。アメリカと較べどっちが文明国か、というのは実は一概に言えないなあ、という思いに至りました。もちろん、商店街には我々からするとものすごくキッチュな恥ずかしいデザインのものもたくさん売っていますけどね。(^^

水面に橋が映って揺らめきロマンチックな感じです。
この橋も立派でした。

この後、街中のイランレストランで晩ご飯を食べ、一日が終了。(レストランは地球の歩き方で「さびれているしおいしくない」と書いてあったシャフルザードというところに行ったが雰囲気も良くとても美味しかった。ガイドブックは必ずしもあてにならん。)

イラン旅行トップに戻る

今日のトピック: イラン旅行指南

ここでは実際にイラン旅行を考えている人に参考になると思われることを書いておきます。

<持ち物> ガイドブックとしては、地球の歩き方とLonely Planet を持っていきました。地球の歩き方も悪くはないですがどうしても情報が少ない。英語で、字も多くなってしまいますが、Lonely Planet をお勧めします。このイラン編は沢山あるLonely Planetの中でもかなり良い出来だという気がしました。(ただし、しばらく新しい版がでていないようなので情報が古いかも知れません。2007年7月時点。)

あと、ペルシャ語の語学本と辞書代わりにLonely Planetが出している会話帳を。i-Pod にペルシャ語の教科書のCDを入れていきました。
日焼け止めは欲しいところです。

<気候> 6月半ばでしたがとにかく暑かった。ピークは7月のようですが。最盛期は東京より5度以上暑いようです。今回まわったような内陸部は湿度はわりと低く過ごしやすいですが、それでも屋外を歩いているとすぐにばててしまうので無理は禁物、という感じでした。ただ、街中では緑、水、アーケード、お茶屋さんなどの暑さをしのぎやすくする様々な工夫が凝らされていますし、朝夕は気温が下がりとても快適だったりするので、夏のイラン旅行も悪くはないですよ。

<時差> 日本より5時間半遅れ。夏時間の間は、4時間半。このキリの悪い時差はかなり珍しいです。何もそんなところでまで独自色を主張しなくても?!

<物価> 物価の安さはバックパッカーには嬉しいところです。2人で贅沢にご飯を食べても1000円行かないことがほとんど。500円いかないことなんてざら。タクシーは外国人と見られて多めにとられても普通は100円とか。1万5千円も出せば、エスファハーンの最高級ホテルに2人で泊まれます。飛行機での移動も5千円とか。かなり物価レベルが安いことに加え、観光客ずれしていないので外国人相手のぼったくり商売みたいなものもあまりない感じです。

<交通> 市内交通はタクシーが多かったです。バックパッカー魂としてはバスを使いたいのですが、混んでるしルートやチケットなどわかりにくいしで、ついつい安易な方に。それでもタクシーかなり安いです。ガイドには「外国人だからといってぼられる確率は低い」と書いてありましたが、実際には結構な確率でぼられていた気がします。知り合いになったイラン人にタクシーを拾ってもらう場合でさえ、しばしばもめたりしていたので外国人に少々高めに請求するというのはどうもかなり一般的になっているようです。ただ、ぼられたとしても元の値段がすごく安くてたかがしれているぼられ方なので大概はほっておきました。観光客ずれしていないので、ちょっと多めにもらっちゃう、というのはよくあっても、すきさえあればこれぞとばかりに徹底的にふんだくる、という発想が無いみたいです。ただ、メーター制ではなく乗る前に価格交渉が必要だったり、場所によってはつかまえるのが大変だとか、若干のテクが必要かもしれません。テヘランでは地下鉄もありました。

都市間交通は飛行機が安くて速くてすごく便利です。しかし、安いせいもあるのか、満席で全然切符が買えない、という状態にも出くわしました。手配はお早めに。長距離バスは安上がりで旅情に浸れてなかなか良いですが、結構時間がかかります。バスはボルボとベンツの2種類があり、ボルボの方が高級です。ベンツの方は冷房がついていないおんぼろです。面白いですよね。

<旅行者> 外国人旅行客は本当に見かけませんでした。日本人はエスファハーンで少し、あとペルセポリスで2組ほど、といったところでしょうか。1週間いて10人も会いませんでした。欧米の人々もしかり。日本の夏休みには少し早かったというのと、ドイツでワールドカップがあったのでそれで観光客が少なかったようですが、それでもここまで少ないとは思いもしませんでした。韓国人、中国人も、この後向かった隣のトルコにはわんさかいましたが、イランでは皆無でした。観光客が少ない、というのは大きい魅力ですね。ちなみに、イラン人観光客というは結構います。みんな旅行は好きなようですが、海外はなかなか難しいので国内をあちこち旅行するそうです。

ところで、女性の一人旅は避けた方が良いというのは先にも書いた通りですが、イラン人の認識としても、女性が1人で旅行なんていうのはそもそも非常識ということのようです。そして、同じくらいイランで非常識とされているのが、結婚前の男女の旅行。結婚前の男女だと分かると泊めてくれないホテルもあるなんて読んでいたので、我々も夫婦という名目にして行きました。といっても、公式にそれが取りざたされることもなければ、ホテルとかで聞かれたこともなかったですが。親しく話しかけてきたイラン人のおっちゃんや女学生に「結婚しているの」とか「あれはダンナさん?」とか聞かれた時は面倒くさいので、そういうことにしちゃってました。でもまあ実際のところ、今日のイランで、結婚前のカップルの旅行が、実際どの程度非常識なのか、そのあたりはよくわかりません。

<女性の一人旅> 6/22のコラムのところで旅行中の治安について少々触れましたが、ここでもう少し捕捉しておきましょう。痴漢が問題である、と書いたのですが、それ以外にも一人で旅行する女性にはいろいろ難しい問題がありそうなので、注意が必要です。

根本的な問題として、イランでは女性の一人旅が非常識きわまりないことだと考えられているということがあります。もちろん、23日のコラムなどに書いてきたように、決して女性蔑視・男尊女卑がすごく強いわけではないと思います。女性は女性で社会にも出ていれば人生をエンジョイしているように見えます。しかし、アラブの一部の国ほどではないにせよ、男性中心の保守的な社会、という点はすっぽりあてはまると思います。女性が下、というほどではないのですが、女性はこうあるべき、というのは堅固にある、というのかな。マイクが言っていたのですが、男性の連れである僕と歩いている時と、この日ヤズドで1人で歩いている時とで、周囲の応対や愛想の良さが違ったとのこと。もちろん、ヤズドなんて田舎でテヘラーンより大分保守的、というのもあるでしょうし、それでも1人困っている時は親切にしてくれる人も沢山いるわけなのですが、現地の人々に明らかに非常識に見える旅行者がどれだけ気持ちよくスムーズに旅行できるか、というとちょっと難しいのかもしれません。

また、マイクの知人の話なのですが、田舎にある外国人に慣れていないような宿では「結婚前の男女が同じ部屋で泊まる」ことも「女性1人、もしくは女性だけ、で泊まる」ことも断られてしまうこともあるようです。もちろん、治安自体は良く、中南米あたりのやばいところのように女性1人を狙った強盗やレイプが頻発とかってことはありません。途上国を旅行している時に女性1人でもアグレッシブにバックパック一人旅で世界を回られている方々に僕も何度もお会いしたこともありますが、ちゃんと覚悟して旅行すればやってできないことはないと思いますし、イラン旅行もそれなりに感動的に楽しめるものだとは思います。ただ、イランの魅力の1つが社会や人々にあるとすると、少しもったいないかな、グループで行動した方がいやな思いをあまりせずに楽しいところをより満喫できるのではないかと思います。

<旅行難易度> ズバリ中級かな。パックツアーはないし、言葉の問題もあるし、自分であれこれ準備して計画する必要はあります。ふらっといって考えるというのも不可能ではないですが、時間は相当かかるでしょう。というわけで、海外旅行初心者がふと思い立って気楽に行けるかというと難しい。他方で、治安は良いし、特別な装備も必要ないし、ガイドブックもあれば、英語で充分なんとかなる。ぼったくられる確率もとても低い。宿、メシ屋、交通などの旅行インフラは充実している、などを考えると旅慣れた方々には何の問題も無しか、かなり旅行しやすい国とも言える。海外旅行をほとんどしたことがない人でも少し頑張れば楽しく旅行できるんじゃないかと思います。

<ビザ> <服装>については、6/19,6/23のトピックスを参考にして下さい。 <言葉>については次回書きたいと思います。その他の詳しいことについては、ガイドブックを参考にして下さい。

次へ: 7日目 テヘラーンへ無事帰還 − ペルシャ語について

戻る: 番外編 街角写真館

イラン旅行トップに戻る