2008年6月17日

マネーボール炸裂! アリゾナ・ダイアモンドバックス 対 オークランド・アスレティクス

Oakland 15, Arizona 1
(39-31)
Final 1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
Oakland 2 1 1 3 1 0 0 1 6 15 15 0
Arizona 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 5 0
Box Score
WP: J. Duchscherer (7-4)
LP: B. Webb (11-3)
(37-34)

約1年ぶりのMLB観戦です。ホームチームはナ・リーグ西地区首位のアリゾナ・ダイアモンドバックス。一時期の勢いが無くなってきました。ビジターはア・リーグ西地区でエンジェルズに続いて二位に付けているアスレティクス。ベストセラーの「マネーボール」で有名ですが、事前の戦力ダウンの予想にもかかわらずそれをを遙かに上回る健闘を見せています。試合は好投手同士の緊迫した投手戦を期待していったのですが、結果はダイアモンドバックスの投手陣が総崩れで一方的な試合に。序盤で勝負の大勢が決してしまうと見所の少ない試合になってしまうことも多いですが、この日はアスレティクスが攻撃の手をまったくゆるめず、9回まで面白いくらいにとことんせめ続けるという少し珍しい展開で、これはこれでとても楽しめました。ダイアモンドバックスファンにとっては踏んだり蹴ったりだったでしょうけれど。

ダイアモンドバックスの本拠地、チェイスフィールドです。この日も良い天気で外は40度以上の暑さ。
屋根は開閉式のドームです。雨天でも試合ができる、ということよりも、これだけ暑い日でも快適に試合と観戦ができる、ということが一番の意義だったりします。

この日は元々、野球観戦と決めていたため、時間を取って開門と同時に行きました。夏休みだからか、熱心な子供連れのダイアモンドバックスファンがかなりの数来ていました。

入場すると中は冷房がほどよく効いています。天然芝が贅沢。天井の隙間から陽光が差し込みなかなかきれいでした。ただ、暑い南国らしいというべきか、若干暗め。陽光や照明があるのでプレーにはまったく問題ないのですが、写真を撮るのがわりと難しい球場。

球場に入るとダイアモンドバックスの練習時間が終わりかけているところでした。写真はメルビン監督。マリナーズの元監督。結構背が高いんです。
反対のアスレティクスサイド。驚いたのですが、結構、A’sファンが沢山いました。テキサスでのトロントファン、ミルウォーキーでのレッズファンとかは1人でも見かけたら驚き、みたいな感じでしたが、フェニックスにA’sのファンがこんなにいるとは。リーグだって違うし。アリゾナはカリフォルニアとは地域的に関連が深いことが関係あるんでしょうか。
左は守護神Huston Street。意外と小柄なんですね。この日はプレーするところが見られず残念。
観客席に挨拶をしているのは、エリックチャベス。マネーボールでもおなじみですね。若いアスレティクスの中ではベテランの風格が。試合前も試合中も(!)楽しそうに愛嬌を振りまいていることが多かったです。プレーも今日は活躍していたし、近年精彩を欠いている感じがあったので、元気なチャベスおじさんを見るのは嬉しいものです。
こちらももう1人のベテラン(といっても30そこらですが)、マークエリス。ナイスガイという感じでファンサービスをしたり観客席と話し込んだりしていました。この人も結構小柄なんだよな。でも、今日は2HRを放ち好守備も見せ大活躍でした。

観客席とグラウンドの垣根のわりと低い球場でした。ヤンキースやカブスの球場は物理的距離こそ近くてもプラチナチケットを持ってないとベンチのそばには行かせてもらえなかったりして、距離を感じてしまうものですが、ここはそういうことはありません。選手達もそれなりにファンサービスをしていました。A’s側ではカルロスゴンザレスという若手とチャベスがサインをしまくっていました。自分はもうちょっとのところでチャベスのサインをもらいそびれ残念!(>_<) その代わり反対のDバックスサイドでマイカ・オウイングスにサインしてもらいました!一昨日の先発だったからか、この日はファンサービスをたっぷりしてました。最近、肝心のピッチングが不調で一昨日もKC相手に大炎上してたのですが、明るくナイスガイぶりを振りまいていました。サインをもらったのも何かの縁、今後、応援させていただきます。今年もシルバースラッガー賞が取れますように。(オイオイ)

メルビン監督お墨付きのホットドックです(ウソ)。
なんか賑わっているブースがあり、D-votionなんてロゴが掲げられています(devotion「献身」とD-backsをかけあわせた造語)。見にいってみると、ファンが集まって思いのままに応援用のボードを作成していました。こういうのも面白いですね。
バックスクリーンです。屋根のレポートという表示が出ていて、今日は外は40度を超えているので屋根はあけません、ということか。ナイターだし日が暮れてから屋根が開いたら面白いのにな、とも思いましたが、そういうことはないようでした。
試合前の国歌斉唱。期待の若手コンビ、ヤングとアップトンが仲良く並んでいました。
オークションサイトでディスカウントでゲットしたのは内野の最前列。火曜日ということもあってわりと空いていました。ダイアモンドバックスベンチの横にはVIP客向けのコーナーがあり、その隣に我々の席。不思議な席で、ベンチの中の様子がいつでも伺えました。

試合前のダイアモンドバックスのベンチはとても陽気な雰囲気。クリスヤング、アップトン、オーランドハドソンといった黒人選手を中心に、ハイタッチをしたりかけ声をかけたり踊ったり、という感じでノリの良い若いチームという感じがみなぎっていました。
今日の先発はDバックスのエース、ブランドン・ウェッブです。今年は絶好調でハーラートップの11勝をマーク。彼が登場し、観客席から声援がわき上がります。落ち着いた感じで淡々と試合へ向かいます。
ダイアモンドバックスのファンは応援するとき、Let's go D-Backs!(ディー・バックス) と言っていました。細かいことですが、カブスはレッツゴー・カービーズだし、2音節じゃないと調子が悪いようです。ホワイトソックスは長いようでいて2音節なので「レッツゴー・ホワイトソックス」そのままでゴロが良いみたいです。

さあ試合開始。
ウェッブは始めてみました。がっしりしています。メジャーによくいる巨漢投手、という感じでは全然ないですが。
フォームはかなりと立ち投げ。スムーズという感じも全然無かったです。メジャーを代表するシンカーボーラーはこんなフォームなんですね。

メジャーを代表する投手のウェッブのはずでしたが、この日は立ち上がりから絶不調。いきなりマークエリスに2塁打を打たれたかと思うと、スウィーニーに安打を許し、カストを歩かせ無死満塁。

ここで4番チャベスでしたがここは不発。バットを折られたあげくダブルプレー。でも、1点が入ります。
二死になるもクロスビーにタイムリーツーベース。続くゴンザレスにはストレートのフォアボール。たまりかねてピッチングコーチがマウンドへ足を運びます。

続くスズキにも痛烈なあたりを許しますが、それがランナーにあたってアウト。やっとの思いで2点で切り抜けました。

長い1回の表が終わり、A’sは今期から先発転向のデュークシャーがマウンドへ。防御率は2点代前半と確実に先発の仕事をこなしている技巧派右腕です。ラストネームは綴るとDuchschererという長いもので、ユニフォームの背中から字があふれそう。

ウェッブとは対照的にスラッとして手足の長い投手体型。
全身を無駄なく使った躍動感あふれるフォームは見ていてため息が出ます。日本の野球を見て育っているとこういうフォームに美しさを感じてしまうんですよね。

ちなみにこれはウォームアップ時なので、打者に対するとさらにフォームの勢いが増します。
ウェッブと違い、投球の約7割がストライク。スピードは直球でも90マイル程度(140キロ後半)で速いという感じはしませんが、同じ腕の振りから出てくるチェンジアップに打者はタイミングをずらされているようでした。自分の席からは分からなかったですが、コントロールとかキレもかなり良かったんでしょう。見逃し三振とかも結構ありました。

非常に効率的なピッチングですいすい抑えていきました。

結局、ウェッブは3回1死まで投げて、7失点の大乱丁。制球に苦しんでいるようで、決め球が全然ストライクにならず、ストライクが取れるのは緩いカーブ、たまにシンカーがストライクになっても甘いところに入って痛打されるという感じでした。超一流の投手でもこんなに調子が悪いということもあるんですね。野球って微妙なスポーツだ。それでもウェブがうなだれて退場していくときは、ファンから温かい励ましの声援を受けていました。どうひいき目に見ても仕事をした、とは言い難いのですが、心優しい熱心なファンが多いようです。リグリーのカブスファンだったら確実にブーイングだけどな。そういえば、5回裏に8点ビハインドの状況でダイアモンドバックスがようやく1点入れたときもサヨナラ勝ちしたかのようなものすごい大歓声でした。

アスレチクス打線は着々と点を積み重ねていきます。投手が変わっても流れは変わらず。とにかく、ボールをよく見極めてじっくり甘い球を待つという持ち味をいかんなく発揮していました。流れが来ているときにそれを相手に渡さない手堅さが感じられます。

写真は今日、大活躍のマークエリス。2HRには驚き。
チャベス氏も納得の表情です。
一方、ダイアモンドバックス打線は荒さが目だちました。もちろん、デュークシャーのピッチングが素晴らしかったというのはあるんでしょうが、速いカウントから手を出したり、やたらと大きな降りであっけなく三振したり、というのが目だちました。かなりポテンシャルのある打線なんですけどね。右の写真のクリスヤングもそうですが、アップトンなど若いメンバーで少しスランプ気味ということで、打撃に焦りもあるんでしょう。

ただ、また調子が出てくれば後半戦には得点力もきっと増しているんじゃないでしょうか。
併殺打に倒れ、浮かない表情のクリスヤング。
調整登板でしょうか、守護神のLyonが登場。ちょっと得した気分。

この前に登板したトニーペーニャもそうでしたが、球が速い。両先発がそれほどでもなかったので、150キロ半ばの速球はすごい迫力があります。

しかし、これはメジャーのすごいところで、そういう剛速球投手が出てきても、ちゃんと打者は対応してくるんですよね。甘い球があれば確実に捉えてきます。

ペーニャもライオンもA’sの勢いを止めることはできず、さらに失点を続けました。ライオンは今日は球が甘かったのか、満塁ホームランを浴びるし6失点で良いところ無し。大きなカーブでカウントを稼いでいましたが、腕の振りが明らかに変わるので対応しやすいのかな?成績的にはかなり安定感があるはずなのですが。

満塁HRの少し後、なぜか、球場のファンが大歓声。何かと思ってスクリーンを見ると、NBAのファイナルの結果でした。ボストンが勝ってなんで喜ぶのか最初は分かりませんでしたが、LAレイカーズに対するライバル心ということなんですね。フェニックスの人間にとっては、ロスアンジェルスには負けたくない、という強い心情があるようで何か新鮮でした。

ランディ・ジョンソン発見。最初の頃はいなかった気がする。二年前にヤンキースのユニフォームでシカゴで見ました。何か不思議な感じ。相変わらず群を抜いて長身でした。
結局、Dバックスのエースも守護神もこてんぱんに打ち崩したA’sが圧勝です。嬉しそうにハイタッチ。
A’sも若いチームなので、試合後すごく嬉しそうにはしゃいでいたのが印象的でした。ベンチの上にはファンが集まって拍手で迎えます。試合後はマークエリスがベンチ前でヒーローインタビューみたいなことをしていました。なんか日本みたいだな。

マネーボールのいやらしさというか強さを見せつけられた一戦でした。Dバックスは少し調子を落とし気味なところへ、見事につけいられた感じでした。こういうときは本当に強いです。打線はねちこいし、それから守備でも素晴らしいプレーがいくつかありました。Dバックスも守備は悪くはないですが、コナージャクソンのLFの守備は本当にひどかった(汗)。なんでもないライナーを目測を誤ったあげくギリギリで飛びついてキャッチしてファインプレーにして拍手を浴びていました。(^^;もっとも今日についていえば、試合の大勢を決したのは両先発の出来だったわけではあります。ちなみにこの三連戦、A’sが勝ったのはこの日、初日だけで、残りの2試合はDバックスの投手陣が奮起し投手戦を制しました。打線の調子が戻ってくるまでは投手陣に頼る展開になりそうです。

十分満喫して、球場をあとにしました。

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