8月18日金曜日

ニューヨーク・メッツ 対 コロラド・ロッキーズ

NY Mets 6, Colorado 3
(59-63)
  Final 1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
Colorado 0 0 0 3 0 0 0 0 0 3 9 0
NY Mets 0 0 1 2 3 0 0 0 X 6 11 0
Box Score
WP: S. Trachsel (12-5) S: B. Wagner (29)
LP: B. Kim (7-8)
(73-48)

昨日のヤンキースタジアムに続き、今日はメッツの本拠地、シェイスタジアムにやって来ました。目下、東地区ダントツ首位のメッツの先発はS.トラクセル、対するロッキーズは金炳賢(ビョンヒョン・キム)。どちらも先発ローテ何枚目だろう、、、というしぶい両先発。トラクセルは結構打たれるわりにはそこそこ勝ってます。キムは成績云々は別として、いつぞやのプレーオフやこの前のWBCで何かと話題の選手ですね。

試合は序盤は点の取り合いでしたが、5回にメッツが3点を奪ったあとは救援陣が踏ん張り、最後はメッツのクローザー、ビリー・ワグナーが締めてメッツの貫禄勝ちでした。メッツが勝って球場も盛り上がったので楽しかったです。欲を言えば、レイエスの盗塁、フランコの打席なんかも見たかったな。

駅を出ていざ球場へ。

メッツの本拠地、シェイスタジアム(Shea Stadium)です。アクセスはマンハッタンから地下鉄で簡単。ちらりと見える内部がきれいで、心躍ります。
NYラガーディア空港がすぐそばなので、飛行機がひっきりなしに飛んでいきます。

中はメッツカラーの濃い青とオレンジが基調になっていて、2階席と芝の緑が映えます。ユニークな色遣いですが、チームカラーがとてもうまく活かされたデザインで、入るやいなやすぐに好きになってしまいました。
我々としては昨日のヤンキースタジアムの雪辱ということで、この日は試合前の練習をたっぷり堪能しました。

写真はメッツの1番バッター、ホセ・レイエスの守備練習。
一塁守備の練習をするカルロス・デルガド(右)とフリオ・フランコ(左)。メジャーのスター選手が続々登場して浮き足立ってしまいました。

フランコは1995年、98年に千葉ロッテにいたあのフランコです。なんとまだ現役!DHなので守備練習はやる気なさそうでしたが例の独特のバッティングフォームは健在でした。昔は62年生まれなんて言っていましたが、訂正されてオフィシャルには58年生まれの47歳(8/23に48歳に)。でも、55年生まれだという説もあり、正確なことは不明なそうです。しかし、55年生まれといったら、50代じゃないか!こんなこと、日本じゃあり得ないな。メジャーリーグって面白いですね。まだまだ現役を続けて欲しいな。

デルガドは今年メッツにやって来た、メジャーを代表する強打者です。イラク戦争を批判して、「ゴッド・ブレス・アメリカ」が流れる時の選手整列を拒否していたなんてエピソードもあり、なんとなく好感。ところで、余談ですが、スペイン語で、delgado って「やせた」とか「薄い」とかって意味の形容詞です。でも全然やせてなかったぞ。ヘンな名字。

外野の奥にあるリンゴは通称、ビッグ・アップル。試合中は下の逆さになった帽子の中に引っ込んでいるのですが、メッツのホームランが出るとピカピカ光りながら登場するという楽しい仕掛け。ニューヨークには「ビッグ・アップル」という別称があるのですが、それにちなんだというわけです。この日は、1回しか見れなかったな。
終始、楽しそうな雰囲気でした。左を向いて笑ってふざけているのがレイエス。右端はメッツ期待の若き強打者、デビッド・ライト。
ファンサービスをするデビッド・ライト。ヤンキースタジアムと違い、選手はファンと同じ目線でファンに囲まれていました。
こちらでファンサービスをしているのは、ロッキーズの看板選手、トッド・ヘルトン。サインを上げたり一緒に写真に写ってあげたり。子供も大人も楽しそうです。この日は、随所でファンサービスをしている選手が大勢見られました。ロッキーズはスター選手がヘルトン1人しかいない、なんて言われていて、確かに不人気チームには違いないのですが、それでも選手がファンサービスを始めると、子供達が嬉しそうに取り囲んでとぎれることなくサインをねだっていました。

今日はチームカラーやファン層についていろいろ面白いなと思ったので、そういったことを中心にレポートしたいと思います。まず、人気も成績も低迷が続くロッキーズ。看板選手も生涯打率が.337のトッド・ヘルトン1人くらいの不人気チームですが、それでも球場ではヘルトンや若手の売り出し中の選手を中心にファンサービスを沢山していましたし、メッツファンだとは思うのですが野球少年達は懸命になってヘルトンなんかを追いかけていました。松井稼頭央が1軍に帯同していたら僕としてはもっと盛り上がったんだけれどな。
 ロッキーズはなかなか面白い球団で、キリスト教がチーム公認の宗教、ってことになっているんですよね。そんなのこのチームだけだと思います。義務ではないにせよ、チームでの日曜の礼拝があったり、ロッカールームに聖書があったりするそうです。あまりよく知らないのですが、ユタとかコロラドとか、あのあたりは宗教的に特殊な土壌があるんでしょうか。で、その影響だかどうだかわからないのですが、非常に白人のアメリカ人が多いチームだな、と思いました。中南米・アジアの選手も若干いますが他のチームにくらべ少ない気がします。黒人選手も1人だけだったし。

さて、対するメッツですが、こっちはチーム名がMetropolisから来ているだけあってメンバーはすごく多彩です。主力野手はヒスパニックがとても多いですし、ロスターを見てもヒスパニックに黒人選手をあわせたらそれだけで半分を超えるようで、ロッキーズとは非常に対照的。国際都市NYの面目躍如。
 そして、それにもまして興味深かったのが、球場の雰囲気とファン層。観客席には非常に多くのヒスパニックの人々がいましたし、球場ではスペイン語の案内放送やエンターテイメントがとても多く、新鮮でした。NYに根ざした球団、ということになるとこういったヒスパニックを中心とした多彩な人々を取り込んだマーケティングはごく自然なんでしょうね。白人中心のヤンキースタジアムとは対照的です。ファン層がいろんな人々から構成されているせいか、応援もマイペースでのんびりという感じ。ブーイングとかほとんど無かった気がします。

 そう考えると、ヤンキースとメッツのコントラストというのはシカゴにおけるカブスとホワイトソックスとの関係に非常によく似ているな、と思いました。ヤンキースとカブスは伝統ある名門球団で昔ながらの球場を使っていて、熱狂的で排他的なファンが非常に多く興行収入は盤石。メッツとホワイトソックスは、チームメンバーもファン層も非常に多彩。メッツではヒスパニックのファンがヒスパニックの選手を応援しているのに対し、ホワイトソックスではそれが黒人やポーランド系アメリカ人に置き換わるわけですね。ファンは概しておおらかで、球場はエンターテイメント指向。どうでしょう、見事に共通の対比だと思いませんか?唯一、対応していないのは成績だけか。(^^;
 どちらが良いとか、どちらが大リーグ的だということは言えないでしょうね。好みの問題かな。僕的にはよりおおらかでオープンなメッツ・ホワイトソックスのファンや球場の雰囲気の方がどちらかといえば好みですが、歴史を感じさせるヤンキース・カブスのカラーだって捨てがたいと思います。皆さんはどちらの方が好みでしょうか?

試合開始前にキャッチボールをするロッキーズ先発の金炳賢(ビョンヒョン・キム)。韓国出身の右下手投げのピッチャーです。WBCの日本戦で福留にホームランを浴びたあの選手です。抑えをやっていたのですが、怪我や不調で苦労した末、ロッキーズに流れ着き今は先発をやっているようです。

ところで、当たり前なのかもしれませんが、下手投げのピッチャーが肩を作る時は、遠投も下手投げでやるんですね。考えたこと無かったので、新鮮でした。
キム・ビョンヒョンが先発、ということで韓国メディアもかなり来ていました。韓国人の観客もすごく大勢いました。キム応援ツアーとかで来るのかな?さすがに、そんなことはないか。ニューヨーク在住の韓国人かな。結局、キムが打ち込まれてしまい、ちょっとかわいそうでした。
試合中の一コマ。攻めるロッキーズ。中盤まではなかなか良い勝負でした。横から見る席はアングル的にはなかなか絵になるのですが、配球やコースはさっぱりわからないな。

この球場の内野席はグラウンドに近く、良い感じです。でも、それなりにお客の入りは良いようで、ヤンキースタジアムほどではないですが、内野の良い席のチケットを入手するのは大変そう。
力投するキム。ストレートは140km台後半を記録していました。下手投げでこれはかなり早く感じるんじゃないかな。あと、「フリスビー」と呼ばれるスライダーは上に向かって変化しているのが我々の席からでもわかりました。
ちょっとしたショートムービーの出し物。メッツの各選手が『ワタシハハンサムデス。』という意味のスペイン語を代わる代わる言う、というそれだけ。アメリカ人選手もやらされて発音がめちゃくちゃだったりするので、ヒスパニックの観客達は大笑いして喜んでいました。スペイン語をしゃべらないお客さん達にとってはイマイチ面白くない出し物なのですが、それって、それだけヒスパニックのお客さんをターゲットにしたマーケティングをしていると言うことなんですよね。
七回の出し物。セブンスイニングストレッチの歌(Take me out to the ball game)をみんなで歌った後、一気ににぎやかになり、メッツのマスコット、Mr. Met (ミスターメット)が登場!おもろい顔の野球ボールに体がついただけのシンプルなマスコットなのですが、なんだか憎めない感じで良い味出していました。
メッツのチャド・ブラッドフォード。かなりのサブマリン投法です。「マネーボール」を読んだ方はご存じですね。球速はかなり遅かったな。
球場はこんな感じです。外野席はほとんどありません。その代わり、夜景がきれいです。バックスクリーンも大きくて見やすかったです。

ところで、バックスクリーンの真ん中の上には、マンハッタンの摩天楼をモチーフにした照明があるのですが、その左の方には、2001年の同時多発テロの標的となったワールドトレードセンターのツインタワーもちゃんとありまして、今ではそこだけ照明が消され上からリボンのようなデザインがかけられていました。非常にこまかいところではありますが、ニューヨークの受けた傷というのはこんな所にも刻まれているんだな、と印象的でした。
メッツの守護神、ビリー・ワグナー。この日は97マイル(156km)がmaxでしたが、ほれぼれしました。
メッツ、余裕の勝利!花火が上がるのは、シカゴのセルラーフィールドと同じだな。
試合終了後、電車の駅から見たスタジアム。この球場も数年後に新球場に移転するそうなので、もう来る機会はないかな。デザインは独特の魅力があり、観戦するための環境もよく、なかなか良い球場だと思いました。ちなみに、3塁側の裏手には遠くにマンハッタンの街並みも見えます。夕暮れ時や夜景、すごくきれいでした。もし、球場に行かれる際はかるく眺めてみて下さい。

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