8月17日 木曜日

ニューヨーク・ヤンキース 対 ボルチモア・オリオールズ

Baltimore 12, NY Yankees 2
(53-68)
  Final 1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
Baltimore 1 0 3 3 0 5 0 0 0 12 9 0
NY Yankees 1 1 0 0 0 0 0 0 0 2 7 2
Box Score
WP: R. Lopez (9-12)
LP: J. Wright (9-7)
(70-48)

念願のニューヨークでの野球観戦をしてきました。今日はヤンキースタジアムでのオリオールズ戦です。木曜のデーゲームにもかかわらず、熱狂的なヤンキースファンでごった返していました。ヤンキースファンにとっては、恨めしい試合展開になってしまいましたが、僕としてはヤンキースタジアムを満喫できたので大満足な午後になりました。

試合はヤンキースがジャレット・ライト、オリオールズがロドリーゴ・ロペスという渋い両先発。あ、渋いなんて言ったらオリオールズに失礼かな、ロペスは一応、エースピッチャーだった。でも、防御率は堂々の6点台。というわけで、楽しい打撃戦を期待していたところ、1回から両軍に先頭打者ホームランが飛び出し華々しいスタートとなりました。で、3回くらいまでは接戦の様相だったのですが、早々に先発を降板させたヤンキースの中継ぎ陣がどんどん打ち込まれ、一方的な展開に。終盤のヤンキースは主力選手が軒並みベンチに下がってしまい、ヤンキースの控え選手オンパレード、9回はスタンドもがらがらで、なんとものどかな風景になっていました(^^;)。

試合前の外の風景。ニューヨーカーで賑わってます。球場の外の感じはシンプルで思ったほどインパクトがないなあ、というのが第一印象。
球場内は明るい青を基調にまとめられています。ホームプレート後ろのヤンキースのロゴが、ああ、ヤンキースタジアムに来たんだな、と実感させてくれます。

この日はカードの3試合目で、両軍とも移動日無しでの移動を控えているため、試合前の練習は行われませんでした。たまにこういうのあるんですけれど、両チームともお休み、というのはちょっとついてなかったな。
松井選手発見!!まさか試合前にこうして見れるとは思いませんでした。独自メニューでもくもくと調整していました。キャッチボールが多かったな。遠投の距離がすごいなー、と感心。チームメイトにからかわれているようなシーンもちょくちょく見れました。
あがる前にファンサービスへ。ずっと試合に出ていないにもかかわらず、すごい人気ぶりでした。影になってしまい撮れなかったのですが、笑顔で子供達に何か話しかけていたようでした。

ところでヤンキースタジアムは今まで行ったことのある球場とくらべ、スタンドとグラウンドの距離が遠かったです。スタンドは少し高いし、ダグアウトに近い内野席は立ち入り禁止でチケットを持ってない人間はいれてくれません。熱心なファンはライトの横のスタンドに陣取って上から必死に手をさしのべてサインをねだっています。熱狂的なファンとスター軍団、ということでどうしてもこうやって隔てられてしまうんでしょうか?メジャーでのファンと選手の交流する光景が大好きな私としては、これはちょっとイマイチでした。
上から見たスタジアム。青と白のデザインと外の町並みが印象的です。親しみやすい素朴な感じを受けました。市民に長く愛されてきた街中の球場という感じでしょうか。

ファールグラウンドが狭く、かなり打者有利です。元々は左翼がすごく深く、左バッター有利だったため、ラッキーゾーンのようなエリアが設けられたのですが、それでもまだ左翼の方が深く、左バッター有利だそうです。
左翼はこうなっています。両軍のブルペンはここにあります。また、モニュメント・パーク、という往年の名選手を記念した一角があり、試合前はずっと賑わってました。

それと、読売新聞の広告が印象的。松井選手が怪我をして広告効果はかなり下がったのかな?漢字だったのはさすがにこれくらいですが、日本企業の広告は他にもけっこうありました。
ウォーミングアップ終了。もうすぐ、試合開始です。34番は先発のライト、18番ジョニー・デーモン、2番はジーター。
攻めるヤンキース。ランナーはデーモン、打席にジーター。ピッチャーはオリオールズのロドリーゴ・ロペス。ジーターは四球を一つ選んだだけで、あとは2三振で良いところ無く早々に引っ込みました。デーモンは1人で気を吐いていました。3塁打が出ればサイクル安打だったな。
バッターは4番ミゲル・テハダ(多分)。この日はしぶく2安打でした。
外野スタンドは小さいですが、すごく熱狂的です。音頭を取る人がいてみんなで声をそろえて各選手順番に声援を送るという、アメリカでは珍しい日本のような応援も見られました。凡プレーをしたヤンキース選手へのブーイングもすごかったな。平凡な内野フライを取り損ねたA・ロドリゲス(記録はジーターのエラー)が打席に立つと、球場中からブーイング。「ロドリゲス、ナイスプレー!」なんてヤジが飛んでました。いやはや、すごい球場だ。

敵チームのホームランが飛び込むと、ボールをキャッチした人には周り中から「投げ返せ、投げ返せ」とコールがかけられます。それに答えて、ボールを外野に投げ返せば周りから拍手喝采されます。悪のり、というか、ねたみも入っているんだろうな(^^;)。これ、他の球場でもある現象ですが、ここのはひどかったです。敵チームのホームランボールだって、欲しい人はいますよね。僕だって、もしテハダのホームランボールが取れたら投げ返したくないな。そういう時はどうすれば良いんでしょうね?ボール持って一目散に逃げるかな。。。(^^
ヤンキースタジアム名物。5回のグラウンド清掃ではYMCAのBGMにあわせて清掃員達が踊ります。なかなか盛り上がりに欠けるパフォーマンスでした。まあ、面白かったけど。
こ、これはっ!!

日本と違いこちらではその球場ならではの名物の食べ物、ってほとんど見ないのですが、ここにはありました。ほそぼそとここだけで、しかしものすごいインパクトだ。う〜ん、アメリカン。。。すっごく、甘いんだろうな。でも今思えば、せっかくだからポサダの一つでも試してみれば良かったのですが、あのときは食べてみようという発想が全くおこらなかったな。
オリオールズの1番バッター、ブライアン・ロバーツの盗塁。余裕でセーフでした。かっこよい〜。今日はホームランもファインプレーもあり、目立ってました。

オリオールズはこの後も戦いの手を休めず、終わってみれば10点差の大勝でした。

オリオールズなんてテハダ以外にスーパースター選手のいない渋いチームだと思っていましたが、この日はなかなかかっこよかったですよ。B・ロバーツ以外にも外野手のMarkakisや抑えのクリス・レイなどスター候補の若手がいます。

他には誰が知られているかな?すごい勢いでうたれる中国人、ブルース・チェンや、中日ドラゴンズに行きたいといいながら、やっぱりレッドソックスに行く、と契約問題を起こしたケビン・ミラーなんかがいます。うーん、やっぱりしぶいな。
というわけで、9回の外野席...こんな感じになっちゃいました。あんなに熱狂的だったのに、みんな意外と淡泊です。それとも、ニューヨーカーなので気が早いのかな。
試合終了。牧歌的ってところでしょうか。

最後にヤンキースタジアムの感想を書いておきたいと思います。今日一試合だけでしたですが、僕が感じた印象を一言で言えば、「市民に長い間愛されてきた街中の普通の球場」という感じでしょう。「ベーブルースの建てた家」なんて別名もあるのですが、入場した瞬間、長いアメリカの野球の伝統や歴史が伝わってくるか、というとそうでもありませんでした。シカゴのリグリー・フィールドはつたがからまり手動のバックスクリーンがあり、一見しただけでいかにもそういう魅力が伝わってくるのですが、ここではそういう魅力は感じませんでした。外観は味気なく、中のデザインもベタな青で簡素(悪く言えばあまりセンスがない)、椅子も小さいし、選手との距離は結構あり、なんだか日本の古いプロ野球球場の様な趣さえ感じました。もちろん、モニュメント・パークという往年の大選手を記念した場所があったり、試合開始前はバックスクリーンでずっとルー・ゲーリッグの特集をしていたりと、栄光の歴史を感じさせるものも確かにあることはあるのですが、そういう雰囲気が球場を満たしているかと言えば、ちょっとかなり脳内補完しないとつらいよな〜、というのが僕の印象です。もちろん、NYに長く住んでいるとか、ヤンキースに格別な思い入れがある、とかだったら全然違う印象なのかもしれないですけどね。

というわけで、行く前に何となく膨らんでいた「世界一の名門球団のメジャーリーグを代表するボールパーク」という勝手な想像は見事にハズレまして、ここの魅力は街の人々から長年愛され続けている庶民的な球場、ってところなのだろうなと思いました。ボストンのフェンウェイ球場と共通するものがあるんじゃないかと思います。中西部や西海岸でのエンターテイニングなボールパークの方向性とはかなり違う、東海岸的なレトロさ、ノスタルジーの中で、熱狂的なヤンキースファンの喧噪の中に身を置いてみる、あるいは一緒に応援してみる、というのがこの球場の醍醐味なんじゃないかと思いました。(ヤンキースファン、ということでしたらまた話は別でしょうけれどね。)

いろいろ興味深かったし、とても楽しんで帰って来たのですが、野球場としての単純な評価は僕としては低めかな。古いのでエンターテイメント性という点では今ひとつ。場内放送とか、バックスクリーンとか出し物とかパッとしません。(かといってリグリーのようにオールドスタイルを追求しているわけでもないし。)それから試合前の国歌や七回の歌なんかは生ではなくテープをかけているんですよね。驚きました。いくらなんでもちょっと味気ないですよね。日本の古いプロ野球球場みたいな感じもするし、選手との距離も近くないし。あ、そういえば、場内アナウンスは年季の入ったおじいちゃんの声なんですが、これは面白かった。しゃがれ声で、「バッター、2塁手、デレク・ジーター」なんて淡々とアナウンスしてるんです。すごく長い間やっている人なのかな?歴史と親しみやすさを感じさせてくれて秀逸でした。まあ、それはそれとして、庶民的といっても、チケットの値段は全然庶民的じゃないですね。チケット完売、なんて言っているわりにちらほら空き席が見受けられたのもいただけないですね。あと、場内のビールや食べ物の値段も全然庶民的じゃなかったな。(^^;

もし、読んでいる方の中にメジャーの試合を観にアメリカにいきたいな、という方がいらっしゃったら、ヤンキースタジアムは一度行ってみる価値はすごくありだと思いますが、ここ一箇所だけではなく、他のボールパークにも行かれてみると良いんじゃないかな、と思います。

PS そうそう、書き忘れましたが、この球場、再来年までで、その後はすぐそばの新球場に移るそうです。球場の個性・魅力が今とくらべどういう風に変わるのか、楽しみです。

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