8月9日 水曜日

ホワイトソックス対ヤンキース

おととい観戦しに行ったばかり。でもって、やることがたまっていてとても忙しいはず。なのですが、友人に「行かないの?先発、ランディ・ジョンソンだよ。」と言われ、ころっと誘惑に負けてしまいました。予定は狂ったけど、でも生のランディ・ジョンソンが見られたし、試合も大いに盛り上がり、大満足でした。

試合前の練習風景。普段とは比べものにならない数のファンが群がっています。球場に入るなり、「ああこれはヤンキース戦なんだなあ」と実感!

大リーグのペナントレースは佳境にさしかかってきていて、連日、熱い戦いが繰り広げられています。ソックスもヤンキースも1戦1戦がすごく大事になってきました。この日はカード2戦目で、昨日の初戦はホワイトソックスが劇的な逆転サヨナラ勝ち。今日も勢いに乗っていきたいところなのですが、こういう劇的勝利の翌日って得てして、勝利ボケしちゃうんですよね。試合は、ヤンキースのランディ・ジョンソンがソックス打線を手玉に取る展開。他方、ヤンキース打線はもりもり長打、連打を浴びせかけ、6回を終えたところで、5対0。しかもソックスは未だノーヒット。7回表にもヤンキースが2点追加し、一方的な展開かに見えました。

こうなると、僕的には興味はジョンソンのノーヒットノーランか、ってことになるのですが、7回裏に井口が初ヒットを放ちその興味もついえました。この時のヒット一本に対するものすごい球場の盛り上がりをよそに、「空しいのお」なんてちょっぴりガッカリしていたのですが、これは僕が間違っていました。なんとここから怒濤の反撃。ジョンソンが早めに降板したのを呼び水に、8回には井口のソロホームラン、クリーディの3ランが飛び出て7対6まで追い上げ、ヤンキースのクローザー、マリアーノ・リベラを引っ張り出しました。でもこのリベラ、昨日、救援に失敗しているんですよね。球場は異様な雰囲気に包まれます。最終回、勝ち越しのランナーを今日猛打賞の井口がつないで、3番トーミ。ヒット一本で同点というところまで行ったのですが、セカンドゴロで万事休す。連夜の大逆転、となればすごいことでしたが、でも7−0から7−6まで最後の3回で持っていってくれたので僕としては大いに満足でした。1点差に追いついた時は、周り中が雄叫びとハイタッチと抱擁とですごいことになっていました。僕も9回は背筋がぞくぞくしましたし、声がかれてのどが痛いです。

では、個別の感想をあれこれと。まず、ヤンキース戦、ってことですが、本当に独特の雰囲気になります。一つには、ヤンキースファンがすごく多い!間違いなく1割以上いるだろうな。こんなに敵チームのファンがあちこちにいる、という状態はアメリカでははじめてでした。また彼らが熱心なんですよね。それから、ヤンキースというのがアメリカを代表する一流スター選手軍団ってことで、ソックスファンもかなり意識するんでしょうね。ジーターが打席にはいると、球場全体が声援とブーイングに包まれました。そして、回が進み、ヤンキースの一方的展開になってくると、大騒ぎしているヤンキースファンに対してソックスファンのいらいらが爆発したりします。普段は、ソックスファンってかなり温厚な方だと思うのですが、今日はあちこちで言い争いになっていました。ヤジの応酬なんかまでは笑えて良かったのですが、「Yankees sucks」みたいな大合唱がはじまると騒然としてきますし、なんとちらほら取っ組み合いのケンカまでやってまして、警備員に連れて行かれる人も何人も見ました。こんなの、カブスとのサブウェイシリーズでも無かったぞ。ともかく、この熱気満々の盛り上がりの中で観戦するのは悪くないですね。これがまた魅力になってヤンキース戦は人気が出るんでしょうね。

それにしても、ヤンキースはスター揃いですね。けが人続出でもすごいラインアップです。先日もフィリーズからボビー・アブレイユをトレードで取ってきました。走攻守そろったメジャーを代表する選手の1人です。今日はアブレイユもアレックス・ロドリゲスもそろって活躍。ジーターもほとんど出塁して、盗塁もしたし、目立ってましたね。これでジアンビがお休みだというのだから。。。

僕が好きなのはバーニー・ウイリアムズです。もう歳で今年が最後かもしれません。守備負担を減らすためDHになったようですが、その甲斐むなしく往年の打撃力にはほど遠いようですね。だから、今日、ヒットを一本打った時は嬉しかったな。この人、プロのジャズ・ギタリストでもあって、引退したら引退したでそっちでも活躍するんでしょう。打撃練習の時も、どこかあか抜けている感じがしました。ファンからの人気もすごかったです。面白かったのですが、多くのファンがデレク・ジーターやホルヘ・ポサダや他のみんなをファーストネームで呼んでいるのに対して、彼だけは敬愛の情というのでしょうか、「ミスターウィリアムズ」って呼んでました。

それではピッチャーの方も少しレポートを。まず、今日の一番の目当てだったビッグユニット、ことランディ・ジョンソン。メジャーの多くのバッターが「一番対戦したくない相手」というピッチャーですね。2m8cmの体躯と豪快なフォームの醸し出す迫力っていうだけでもすごいのですが、今日は出来が素晴らしかったです。この9月で43歳になるということで、往年の球速160kmはみられず153km止まりでしたが、速球と変化球のコンビネーションや制球がさえ渡っていました。まあ、42歳で153kmを連発、っていうのもすごいことなんですけど。今年は、わりと調子の悪いことも多いようなのですが、まだまだこれからも活躍して欲しいです。

さて、今日、一番球が速かったのは誰かと言いますと、ジョンソンでも守護神リベラでもなく、ヤンキースのセットアッパー、ファーンズワースで155kmまで行きました。こんなに早いとは知らなかった。で、なんか面白い投球フォームでした。体重を前に移動していく時にお尻から行かず左足がずっとかなり前に出ているんですよね。体は開かずカベはちゃんとできているのであれだけのスピードを出せるのでしょうが、下半身のバネを使って投げているという感じではなかったです。

最後に、守護神、マリアーノ・リベラ。36歳ですか。最速153kmでしたが、最盛期ほどの安定感はなくなってきていて、昨日は打たれてしまったようですが、今日はなんとか抑えきりました。きれいなフォームなんですが、思ったほど躍動感が無く制球もちょっとばらついているような感じがしました。やっぱりちょっと落ち目なのかな?それとも元々こんな雰囲気なんでしょうか?

まあ、こんな感じのスター揃いのヤンキース。生え抜きのカノやカブレラあたりをのぞくとみんなものすごい高給取りで、平均年齢もかなり高いんですよね。確かにすごいプレーは見れるし、みんな格好いいです。プレーだけじゃなくて見た目も格好いい選手が多いです。リーダーシップのあるカリスマ選手が集まってきますしね。でも、そういうのってどうでしょう?僕としては少しつまらないような気もしました。アンチ巨人と同じって言えばそうかもしれませんけど、例えば、他の球団にちらほらいるようなちびっちゃい選手とかって今のヤンキースには1人もいないし、傷の無い超エリートの集団は応援のし甲斐がもう一つ無い気がしてしまいます。まあ、ヤンキースのプレーを見るのはもちろんワクワクするし、ニューヨーク在住なら応援しても良いだろうとも思うんですが、それにしても分からないのは、アメリカ各地でヤンキースファンってどうしてここまで多いんでしょう。多様性・自主独立・地方分権を重んじる文化の国なのに。金満球団だからかな。

今日はミネソタが接戦をものにして勝利し、ア・リーグ中地区はホワイトソックスが3位に転落。プレーオフ進出に向け、かなり苦しい状況になってきました。シカゴ在住の僕としては、ここでなんとか持ちこたえて、また盛り上げてくれることを期待したいと思います。がんばれホワイトソックス!!

ここまでの両軍の戦いぶり。こうしてみると、実はかなり互角で良い戦い。攻撃力で見るとホワイトソックスの方が上なんですね。ホワイトソックスの最近の低迷と投壊や、ヤンキースの選手層の厚さを意識していたせいか、僕にはこれらの数字はなんか意外でした。あ、でも、いずれにせよヤンキースの属する東地区の方がレベルが高い、というのはあるので、この数字で見るほどホワイトソックス有利では無いですね。
打撃練習の横で楽しそうに談笑。左から、ジーター、デーモン、ポサダ、ウィリアムズ。こんな豪華な面々が目の前で一堂に会しているよ〜。。。この時点でチケット代の元は取れました(笑)。
肩慣らしをするジョニー・デーモン。ボストンからヒゲ・長髪禁止のヤンキースに移籍してきて、きれいさっぱり端正になっちゃいました。
A・ロッド、こと、アレックス・ロドリゲス。敵地だけど、ちゃんとファンサービスしていました。みんな、少しずつだけど、サインしたり一緒に写真に写ってあげたりしていました。大リーグの大好きな光景の一つです。某日本人大リーガーにも少しは見習って欲しい。って、まあそれはそれで個性だから良いですが。でも、日本の球場をもっとこういう風に選手との距離を近くして欲しい!!
ジーターは今年も打撃好調で、現在ア・リーグの打率二位。イチローは今年は厳しそうですね。ちなみに、1位のミネソタのマウアーは新人キャッチャーです。今年はルーキーが百花繚乱ですごいことになっています。城島なんか年によっては新人王も狙える働きぶりですが、今年はライバルがすごすぎて全然射程圏外って感じです。
ジーターの守備練習。かっこよかったです。すごくリラックスして楽しそうにやってました。ちなみに打撃練習も良い感じでした。大きな当たりはないのですが、鋭い打球をガンガン打ってました。
トーリ監督登場!!やっぱり淡々としていました。キャップのへこんだ感じが好きです。
もう一枚トーリ監督。しかし、ヤンキースの監督、っていうのは選手の練習を見守るだけでなく、いろんな人が挨拶に来るわ、テレビカメラは向けられるわ、ですごく忙しそうです。
バーニー・ウィリアムズ。練習中でも、なんだかちょっとおしゃれでした。さすがプロのジャズ・ミュージシャン。って、関係ないか。
ヤンキースのオーダーです。松井とシェフィールドは怪我でいません。ジェイソン・ジアンビは前日のデッドボールの影響で今日はお休み。それにもかかわらず、大スターが名を連ねています。
おおおーーー!ランディ・ジョンソン発見!この後、写真右下のブルペンへ移動。おっかけるしかないでしょ。
人だかりのわずかな隙間を見つけてなんとか侵入。ブルペンです。こんな間近で本物が投げている。。。
おおお、いつもテレビで見るとおりの顔だ!(当たり前だけど)。
そしていつもテレビで見るフォーム。大迫力でした。ところで、これってサイドスローっていうんですかねえ?
ポサダのキャッチャーミットめがけて投げ込みます。この、ボールがミットを叩く音っていうのは想像をはるかに超えてすごかったです。「叩く音」なんて生やさしいような音じゃなかった。
この写真を見ると、2m8cmがどれだけ大きいか、少しは感じてもらえるでしょうか。右はヤンキースのピッチングコーチかな。別に小さいわけでなく普通のプロ野球選手の背丈なのですが、この写真では小人のように見えますね。
試合開始。ジョニー・デイモンが打席に入ります。2塁手は井口、1塁手はポール・コネルコ。この打席でいきなり3塁打が出て、そこから3連打。試合はいきなりヤンキースペースに。
ランディ・ジョンソン。豪快に投げてます。
ソックス打線は手も足も出ません。ストレスのたまる展開が続きます。
6回終わってなんとノーヒット。ヤンキースは着々と加点し、ソックスの先発ガーランドをノックアウト。ソックス完敗を予期しました。

ところで余談ですが、ソックスの2番手ピッチャーはその名も「リスキー」。なんだかあんまり出てきて欲しくない名前だなあ。
ヤンキースの攻勢に大勢詰めかけたヤンキースファンは大喜びです。写真はロビンソン・カノが一発撃ったところかな。こんな雰囲気になることは、他のカードではあり得ないと思います。

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